疑似恋愛体質

推しと自担は増やすもの

赤の似合う人生とは〜「COCOON 月の翳り」感想

※※冒頭からネタバレしまくります。シリーズ他作品の内容も含みます。作品未観劇の方は自己責任でお願いします。※※

 

※※※ツイッターで言いたかったことをひたすらメモしていたものの寄せ集めなので段落ごとの連続性はあんまりないです。結論やオチも特にないです。※※※

 

※※※※公演から3ヶ月近く経ってるのですが全く気にせずアップします…円盤楽しみ〜〜!※※※※

 

ライネスしたのに全員生きてた〜〜〜!!!!!(大声)


ラファエロとアンジェリコがクランに来て間もない頃の話。「仲が悪い人達が何故仲違いしまったかを語る」という大筋のストーリー、まあ要するにあ〜〜それでそうなっちゃったか〜〜〜この後ああなるのね〜〜〜〜っていうあの感じ、完全にロスモワ。アンジェリコの配役にめっちゃ納得しちゃうやつ。(個人の感想です)


『TRUMP』より前の時間軸ということが確定した時点で「あっ今回はクラン焼かれない…!良かった〜〜!」ってみんな思ったよね…?あとディエゴは死亡フラグしかないけどそれ以外登場人物のほとんどが死なずに済むぞ!とも思った(バンリパターンもあるので必ず死なないとは言えない)(フラれパターンのような言い方をするな)


これまでのTRUMPシリーズは世界観を深めるための新情報とか、それによる絶望が大変美味で(超主観)、それはそれで我々繭期愛好家はまんまと踊らされていたわけですが、今回はテーマが大変普遍的なんですよね。「自分は何者か?」って。めちゃくちゃ人間臭い。吸血種だけど。なんなら屋上のシーンちょっと青春ドラマなのかな?って思った。クランの屋上でこんなポジティブな出来事今まであった?笑 まあ全部ウソなんだけど…。
TRUMPシリーズって基本的に「運命がそうなってるからどうしようもない」というやり切れなさを抱えているのだけど、繭月に関してはわりと「個人の感情がこじれあってやり切れなさを生んでる」要素が多分にあるので、どこかが違っていれば上手くいった可能性を感じてしまうし、だからこそ今回のテーマである「希望」が活きてくるんだな…。

それにしても「僕も君も、ただ愛されたかっただけ」ここまで答えが出てるのに、どうしてこじれてしまうんだろうな…。アンジェリコは愛されなかった分の隙間をラファエロの気をひくことで埋めようとして、ラファエロはウルを守り期待に応えることで愛を求めようとした。愛されたかった2人の子供の物語として見てもやりきれないしそれが故に愛おしい。

 


この作品、皆が皆、他人に自分の理想を投影しているんですよね。ラファエロはエミールにウルの姿を投影しているし、アンジェリコはラファエロに親の代のような親友かつ理想のライバル像を押し付けるし、ドナテルロはディエゴにかつてのグスタフのような繭期像を押し付ける。それを言えばそもそもの不幸はクラウスがソフィにアレンの代役を押し付けてることから始まってるんだけど…。

そんな中でエミールはウルだと思われることを受け入れて、アンジェリコに逆恨みされようが、とばっちりでディエゴに刺されようが、誰にも、何にも、押し付けをしようとしなかった。それは繭期の見せる「希望」から来るものか、それとも。
ジュリオも、ディエゴにコクーンを勧められたときに「僕ちゃんはそっちには行けない」と、ディエゴのやる事は止めないが自分は参加しない、という断り方をしていて、ディエゴのこと自体は一切否定しない。

自他の区別が曖昧なのは精神が未発達な頃にありがち、みたいな話をどこかで読んだんですが、エミールとジュリオは自分と他人の考えに対して境界線をはっきり自覚しているので、それによって越繭が近いことを匂わせてるのかな、と思ったり。


アンジェリコはラファエロに父同士のような良きライバル関係を求め、なおかつ自分と同じ痛みを抱えているという理想を押し付けて、そしてその理想とは違う現実を受け入れられなかった。その結果ラファエロからは蔑みの目で見られるようになってしまう。プライドの高さと完璧主義が災いをもたらしたわけですが、冒頭で「アンジェリコは昔から思い込みが激しい」とラファエロが語っていたのでこれはおそらく繭期とは無関係の元来の性格。
ラストで(赤衣装にチェンジ後)「僕達は親友だ」と縋るアンジェリコにラファエロは心底軽蔑の目を向けて幕が閉じるわけですが、コクーンの症状で自他同一視が起きていたわけではないことが証明されたからこその軽蔑なんじゃないかとうっすら思っていたりする…。
ところでラファエロはアンジェリコと同じであることを悉く否定してきてるけど、『TRUMP』でソフィに対して「お前さえ居なければ…!」と殺意を抱くのと、本作でラファエロに選ばれなかったアンジェリコがエミールに対して「お前さえ居なければ…!」と殺意を抱くのが完全にリンクしてるし、なんならクラウスの業火で最期を迎えるところも同じ。僕君君僕だし。
「ウルを守る者」というアイデンティティを得たラファエロが、自分のアイデンティティを他者に依存する形で求めるアンジェリコを軽蔑しきってしまうのも何というか分からんでもないけど、お前のせいでアンジェリコが愉快な悪役になってしまった…の思いが拭えない。


ディエゴが「自分はグラント家の血を引いていない、だから偉大な父の跡を継げる存在ではない」というのを、よりにもよってアンジェリコの前で言っちゃうの、大変にやばやばでいらっしゃる…。経緯は違えどアンジェリコだって同じフラ家とは無関係な子供で、それでも努力とプライドで跡継ぎに相応しい存在になろうとしてるのにな…!!!まあ本人は一切知らん訳だけど…。そしてディエゴさん、アンジェリコに言ったところで数年後に彼も…。


ディエゴがドナテルロが繭期暴走事件に関与してるのを言い当てた時に「繭期は勘が鋭くなって困る」と言われてたの、その後の「ラファエロはアンジェリコの事を何とも思っていない」説の証明に繋がってくるし、今作では答えに言及されない「フラの血なんて引いてないんじゃないのか」の信憑性を証明してるんですよね…。ひょえ…。


ところでディエゴがジョルモロを咬んだときに「咬傷行為は血盟法で禁じられてる!」ってよりにもよってアンジェリコが言うのもおまいう感がすごすぎてツッコミを入れたくなりますね…。


ラファエロが「ウルを守れないとお父様を失望させてしまう」と語っていたの、その後実際に失望させてしまう場面を知ってるだけにより守護者の重圧を感じてしまう…。


グスミケってこの時点でクラウス=TRUMPであることを知ってるんですかね…いつヴラド機関に入ったのかハッキリしないし今作でTRUMPに言及する場面にも何にもない〜〜〜気になる〜〜〜。


初見はアンジェリコがあまりにも普通の繭期のヴァンプすぎることに驚いて(貴族狩り後の養護室のシーンでディエゴに敬語を使っている上にお礼まで言う、TRUMP時間軸では考えられない笑)、クズクズクズ!とかもそこまでじゃなかった印象があったんですよね。ディエゴを見て初めて口にしたワードみたいな感じ(超主観)。その後繭星を観たらいつものアンジェリコだったので安心したのとその喋りのクセがすごくなったのはいつからですか…?と気になってしまった。笑

5/22昼のアンジェリコの喋り方がめちゃくちゃTRUMP時間軸(=星ひとつ)のアンジェリコに寄っててあの回だけアンジェリコが元々おかしい奴みたいで面白かった(面白くはない)

5/23夜LVは丁度中間ぐらいの印象。

以上アンジェリコに対する印象レポでした。笑


ドナテルロの「コクーンを投与する生徒を見極めていた」という台詞からアンジェリコがコクーンを投与されてたかどうかが気になってて、ウルの幻覚を見るシーンに陰翳がいること(それ以外のアンジェリコ単独シーンには出てこないはず)、「繭期がどんどん酷くなる」という発言からコクーンを投与されてるのはほぼ確定だと思ったんですが、ウルの幻覚を見た後に「都合の良い幻覚だ…」と冷静な感想を述べてたのは何だったんだろう…。効きが悪かったのか…。
でもあれ、「幻覚の内容が自分に都合の良い内容だ」と妙に客観視できてるのは何故???ディエゴに「自分で自分の事も分からないような奴」と言われてたのに…???(ただこの台詞は出自にまつわる話の可能性もある)
ひとまず現時点での私の解釈は「ウル(の幻覚)の言葉はラファエロにはよく効くがウルの現在の姿かどうかも確証がないアンジェリコには効かなかった」か「すさまじい自制心を持っている(=コクーンの効果が薄い)」のどっちか。


アンジェリコがジョルモロを咬んでディエゴのイニシアチブと混線状態になったときの照明が凄く綺麗。にしても高貴な血筋だからイニシアチブを取れたとたぶん死ぬまでずっと思ってるんだよなこの人…。ううっ……。
そしてジョルモロが自らの意志でアンジェリコに従うようになった経緯を知った後にパンフの「アンジェリコを待ちながら」を読むとなかなかぐっと来ますね…。

 

 

最後に赤衣装に変わるのは、2人の心が今も血を流し続けてることの表現だと思ったんですがどうなんでしょう…。今後クランを離れ平穏に暮らしたであろうジュリオが見てた世界を、彼が越繭した後も誰かに覚えていてもらえるように観客に託しているのかな、なんて。

 

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